出会うはずのなかった君へ。

なぁんだ。
じゃあ、みんなに聞いているのかな?



そう思うと、一気に心が軽くなった。私は、正直に言葉を紡ぐ。



「えっと、クラスも違うので、あまり話したことはないです。」



そう答えると、校長はきょとんとした。



「……そうなのかい?でも、彼は仲良しだと思っているみたいだけどねぇ。」



「えっ…は、春川君、目を覚ましたんですか?!」



そうたずねると、校長は静かに首を振った。



「いや…まだ意識は戻っていない…。だから、詳しいことは彼本人にしか分からないのだが…。」



曖昧な言い方に、すこし苛っとした。