━━大坂女学園高等部天守。

(お姉ちゃんの為にも、徳川を討つ...。)
豊臣蓮加は決断した。

豊臣麻衣の生前に世話になった女子中高生達が、大坂女学園が狙われていると知って、学園に集まって来ていた。
その数は約十万人。

「蓮加様ー!!」
真田未央奈も、大坂女学園にやって来た。

「あ、未央奈さん...ありがとう...。」
と、蓮加は言った。

他にも有能な女子高生や女子中学生が集まっていた。

━━後藤伊織(ごとう・いおり)、高校一年生。
黒髪ロングストレートに、切れ長の目が特徴の美少女で、文武の武に長けている。
その武勇から、色々な大名達から家臣にしたいと声が掛かるほどである。
そして、いくつかの学校を転々としていて、今は大坂女学園の所属になった。

━━長宗我部祐希(ちょうそかべ・ゆうき)、高校二年生。
ほんのり茶色がかった、肩までのストレートが似合う美少女で、高知県土佐(とさ)地区の大名だった姉の跡を継いだが、関ヶ原の戦い後、地区内で問題が起き、その責任を取らされて、大名ではなくなった。
再び豊臣の天下に戻して、大名に復帰しようと、大坂女学園にやって来た。

━━毛利みなみ(もうり・みなみ)、高校一年生。
茶髪のロングストレートが特徴の美少女で、声が可愛らしく《妹ボイス》と称されている。
毛利まあやの妹で、まあやから大名を譲られた。

━━明石美月(あかし・みづき)、中学三年生。
肩までのストレートの黒髪が良く似合う美少女で、胸に金の十字架のネックレスをしている。
熱心なキリスト教信者である事以外は、謎に包まれている。

未央奈、伊織、祐希、みなみ、美月の五人は、かなりの有能な女生徒で、蓮加からの信頼も厚く、《大坂五人衆(おおさかごにんしゅう)》と呼ばれた。
ただ、集まった女生徒は十万人程もいるが、寄せ集めに近いので、統制を取るのは難しそうである。


━━鹿児島県薩摩地区鹿児島(かごしま)女学院体育館。

ここは元々は、内女子高等学校であったが、島津怜奈が大改修して鹿児島女学院に改名した。

「皆様にお伝えしたい事があり、お集まり頂きました。」
と、怜奈は言った。

集まった女生徒達は、黙って怜奈を見た。

「徳川珠美様が大坂女学園を攻める事は、知っていると思います。
私は今回は、豊臣にも徳川にも付かず、中立の立場を取ります。」
と、怜奈は言った。

「!?」
女生徒は、意味が分からない様子。

「関ヶ原の事を思い出して頂きたいのです...。
私達を助ける為に、多くの仲間が犠牲になりました。
私達の命は、彼女達に救って頂いたのです...。
彼女達の死を無駄にしない為にも、私達は、命を大切にして生きるべきだと考えました...。
この判断を臆病者と取るかどうかは皆様次第です。
不満ならば、謀反を起こして下さっても構いません。」
と、怜奈は目を潤ませながら語った。

「怜奈様の意見に賛成です。」
一人の女生徒が言った。

「私もです。」
他の女生徒も応えて、全員が怜奈の意見に賛同した。


━━大坂女学園高等部天守。

ここで元々の豊臣の家臣達と、大坂五人衆で作戦会議が行われていた。
豊臣の家臣達は、篭城(ろうじょう)策を提案した。

━━篭城とは学校に立て篭もって、攻めて来た女生徒を迎え撃つというものだ。

しかし、有能な真田純奈・美彩二人の姉を持つ未央奈は違った。

「学校から出て、迎え撃つ方がいいと思います。」
と、提案した。

学校に立て篭もってしまったら、時間が経過するにつれ、各地から女生徒が攻め込んでくる可能性がある。

それよりは短期決戦で、徳川珠美軍本体を武力行使で潰せば、他の徳川に味方している女生徒達の士気が下がり、勝ち目が出ると考えたからだ。

蓮加も未央奈の意見に賛同した。

しかし、ここは安全策という理由で、豊臣家臣達の篭城策が採用された。

そこで、未央奈は別の提案をした。

「大坂女学園の端にプレハブで良いので、校舎を建てさせて下さい。
そして、そこを私の拠点にさせて下さい。」
と、未央奈は言った。

「うん、未央奈さんに任せるね。」
と、蓮加は快諾した。

そして、未央奈はプレハブ校舎を建てて、周りをしっかりと壁で囲った。
真田未央奈が作ったこの校舎は、《真田丸(さなだまる)》と呼ばれた。

更に蓮加から、自分の軍を好きな色で統一しても良いと許可されたので、赤色で未央奈軍は統一された。

豊臣と徳川の決戦の日が近付いていた...。