「皆様のご協力のおかげで、女子高生同士の争いも、終わりを迎えようとしています。」
と、麻衣は話し始めた。

他の女子高生達は、黙って聴いていた。

「私から幾つか、お願い致したい事がございます。」
と、麻衣は続けた。

「まず、信濃地区で小名として独立した、真田純奈さん...。」
麻衣は、真田純奈を見た。

「はい。」
と、純奈は返事をした。

「私の関白の権限により、真田純奈さんには、正式に信濃地区の大名をお願いしたいと思います。」
と、麻衣は言った。

「ありがとうございます。」
純奈・美彩姉妹は頭を下げた。

「そこで、二つほどお願いがあります。」
と、麻衣は言った。

「何でしょう?」
純奈達は顔を上げた。

「まず二年生の美彩さん、徳川七瀬さんの家臣で三年生の本多桃子(ほんだ・ももこ)さんの弟君と、ご交際頂きたいのです。」
と、麻衣は言った。

「!?」
美彩は驚いたが、
「かしこまりました。」
と、頭を下げた。

━━三河地区岡崎女学院三年、本多桃子。
ロングの黒髪のストレートが似合う美少女で、文武の武に長けていて、剣道二段の腕前だ。
名軍師の本多花奈の方は、文武の文に長けている。

文武の文に長けた、本多花奈。
文武の武に長けた、本多桃子。

二人の“本多”が、七瀬を支えていた。
ちなみにこの二人は姉妹ではなく、たまたま同じ苗字なのだ。

「次に、お二人の妹で中学生の未央奈さんを、一ヶ月ほど越後の上杉史緒里さんの所へ、お預け頂きたいのです。」
と麻衣は純奈達を見た。

「え!?」
と、純奈は驚きを隠せず、
「妹の未央奈をご存じですか?」
と訊いた。

「はい。
未央奈さんは、私の妹の蓮加の命の恩人です。」
と、麻衣は微笑した。

「かしこまりました。」
純奈は、頭を下げた。

「史緒里さん、よろしくお願い致しますね。」
麻衣は、上杉史緒里を見た。

「かしこまりました。」
史緒里は、頭を下げた。

━━これには、麻衣なりの考えがあった。

麻衣は、徳川七瀬と上杉史緒里の衝突を避けたかった。
その為、両方の橋渡し役になってくれる女生徒が必要だった。

そこで目を付けたのが真田純奈・美彩・未央奈の三姉妹だ。
それと麻衣は、密かに真田純奈の力を恐れていた。
真田純奈の軍師としての策略は、同じ武田二十四将の山本優里と同等か、それ以上だと思っていた。
その為、真田の力も分散しておきたかったのだ。

「そして、本日より《惣無事令(そうぶじれい)》を発令致します。」
と、麻衣が言った。

「?」
女生徒達は、意味が分からない様子。

「これは大名の皆様だけでなく、女子高生同士でも、私的な争いを禁止するものです。」
と、麻衣は説明した。

「かしこまりました。」
大名達は、頭を下げた。

「私は、女子高生同士の無意味な争いをなくしたい、その一心です。

皆様のご協力をお願い致します。」
と、麻衣は頭を下げた。

大名達も、再び頭を下げた。

「ただ...私の考えに賛同して下さらない、大名の方が三名ほどいらっしゃいます。」
麻衣は、少し間を置いて、
「不本意ではございますが、薩摩の島津怜奈、相模の北条飛鳥、陸奥の伊達蘭世の三名は、武力によって...」
と、麻衣が言った時、

「遅れて申し訳ございません!!」
と、大声でホールに入って来た女子高生がいた。

全員、その女子高生を見た。

「陸奥地区仙台女学園一年、伊達蘭世でございます。」
と、その女子高生は言った。

━━伊達蘭世である。

「お越し下さり有難うございます。」
と麻衣は言ってから、
「蘭世さんは、ご賛同くださるようなので、薩摩の島津と相模の北条を討ちます。」
と言った。

「かしこまりました。」
大名達が返事をした。

「毛利まあやさん達、西日本の方は、島津怜奈をお願い致します。」
と、麻衣は言った。

「かしこまりました。」
西日本の大名達が返事をした。

「徳川七瀬さん達、東日本の方は、北条飛鳥をお願い致します。」
と、麻衣は七瀬を見た。

「かしこまりました。」
七瀬達、東日本の大名達が返事をした。

いよいよ、豊臣麻衣の天下統一が目前となった...。