「みんな、そこまでにしとけ」


突然、ボスがそう言った。


「相手は素人だ。しかも、殺れとは言ってない」

「そ、そうだったね…」


久しぶりにマフィアらしい事が出来て少し嬉しかったのか、いつも以上に人を傷つけてしまった。


「ベリー、ユリ、やりたい事があったから喧嘩になったんだろ?」

「あ!そうだった!!!こいつら、裏社会について知ってるんだって!!」

「ユリ、あんまり大声で言わないの♪」

「あはぁ!!ごめんね!ベリー!」

「さてと、ここのボス……リーダーは誰かな?♪」

「………」


不良たちが、黙っている


「……ユリ」

「あいあいっ!」


その言葉を合図に、ユリが1人に近づく。


「さぁ……言え…」


ユリが、胸ぐらを掴んで自分に引き寄せて言う。

こんな声の低いユリを見るのは初めてで私まで背筋が凍った。


「ひっ……!!!わ、わかったよ!言えばいいんだろ!?」

「そーだよー!!!!」


そこで、掴んでいた胸ぐらを離す。


「女だよ……。2年生のやつ!何組かは知らないけど……それは確かだよ…」


2年生……?女……?


「なんで貴方達がそれを知ってるの?」


私は気づいたら質問していた。


「お前たちみたいに、俺らに喧嘩を売ってきたんだよ……下手に動けばお前たちに命は無いって…脅されて……」

「てことは、顔は見たってこと?」

「あぁ…髪は下ろしてた気がする……ていうか、そこまで詳しく覚えてねーよ!」

「そっか……教えてくれてありがとね」

「もういいか!?早く解放してくれ!」

「もういいよ♪怪我、お大事にね♪」


ベリーがそういうと、みんな立ち上がって逃げていく。

てことは、先生でもないし、1年や3年ではない。

男ってこともない。


「まさか身近にいるとはな〜」

「調べる範囲が狭くなったな✨」

「だね……ヒヒッ」