…逢川。


お前がどういうつもりで俺に構うのか、「好き」だとか言われてもわかんねぇ。


でもお前と顔を合わせていくうちに、お前の言葉を聞いていくうちに、少しずつ信じられる気がしてきた。


あんなに迷惑で鬱陶しくてイラつく存在だったのに、今はお前と接することが日常の一部になりつつある。


無駄に高いテンションも、意味不明な言動も、陰のある笑顔も、俺の脳裏に着実に記憶されていく。


お前といると知らなかった感情が溢れ出て、とまどいを隠せない。


なのに色んな感情を知ると、普段の景色が違って映る。


灰色だった世界も、いつも曇っていた空も、前より色づいて見える。


俺の知らない色の世界は、前より確実に居心地がいいんだ。


それがお前のせいなのかなんて知らねぇけど、ただ一つ言えるのは、お前の存在が俺の中に確かにあるということ。


抱えているものに差はないということ。


俺は自分だけじゃないんだとお前に言っておきながら、本当は自分自身に言い聞かせていた。


自分だけが辛いわけじゃない。それがわかっただけで、背中が軽くなった気がした。


ずっと誰もいらないと強く思っていたが、何をされても笑っていられるお前に、少なからず俺は救われた。


心の底ではお前に感謝している。



──例え全てが、嘘だったとしても。