「今日はまず席替えをするぞー。そろそろ今の席飽きただろ」


担任のおっさんの急な発言で、朝っぱらから席替えをすることになった。

生徒達のブーイングを完全無視し、一人黙々とくじを引き、黒板に名前を書いていくおっさん。


めんどくせぇな。席なんてどこだって同じだろ、と椅子にもたれながらその様子を見ていると、窓際から二列目の一番後ろの席に俺の名前が記された。


周りが移動し出し、仕方なく立ち上がる。

移動を終え着席。


だるくてサボりたい衝動に駆られ、頬杖をついた。


「深瀬くんっ」

「…」


…マジかよ…。


左を向きその声の主を確認。すぐさま顔を背け、思わずため息が出た。


「これからよろしくね!」


まさかこいつが隣になるなんて。どうなってんだよ。ありえねぇだろ。


黒板を見ると、俺の隣の席には『逢川』の文字。

そういやこいつ、そんな名前だったような。


「…だりぃ」

「え?だり…」

「逢川、後ろから嫌がらせすんなよ」