「──え?桐谷くんと?」





花火大会から3日後の補習終わりに、私は凪沙を捕まえて話を聞いていた。

あの時言っていたあの人とは誰の事だったのか。

湊くんと一緒にいた、女性の事も気になるし……。

もし、凪沙がその場面を見てしまっていたら……。


変な考えが巡る前に、まずは本人に聞いてみることにした。





「いやいやっ!桐谷くんとまわるなんて無理だよ!あの人って言うのは、綾人くんの事だよ?」



「え、あ、ひ、樋野くんだったのかー!そっかそっか!」





私のその様子に、凪沙は少し目を細める。





「……何?何かあったの?」



「えっ!?な、何もないよ!気にしないで!!」



「……分かった。」



凪沙は納得のいかない顔をしていたが、それ以上は追及してはこなかった。