「あのさ、」


しばらく無言で歩いて、バス停が見えかけたころ。
西山君が口を開いた。


「雛乃って、呼んでもいいか?」

「…へ?」

「いや、ダメならいいんだけど」


なんか西山君って、真面目でクールな感じだと思ってたけど。

意外と普通の男の子なんだなぁ…。



「いいよ。雛乃って呼んで?」

「マジで!?ついでにさ、俺のことも秋夜って呼んで?」


ちょっとドキッとしてしまった。

私、男の子のこと呼び捨てしたことないんだよね。