人を探しつつ荒ら屋を覗きながら、声をかけ続けて暫く歩く。

酒場らしき建物の片隅に痩せこけた老人が佇んでいた。

私たちは、やっと話を聞けそうな人がいたと安堵した。

近くまで寄ると老人がポツリ、口を訊いてきた。

「よそ者が訪れるのは久しぶりじゃよ」

王子は老人に笑顔を向け話しかけた。

「数年前に来た時はこんなに荒んではいなかったように記憶していましたが、何故こんなに……」

「上流にダムができたのじゃよ。以来、村は水不足になり田畑は枯れてな。湖は干上がり、暮らしが成り立たず村人も去っていき……この有り様じゃよ」

「誰がダム建設を」

「領主さまじゃよ。ダム建設の前に、湖の水を枯らしては龍神が悲しむと何度も交渉したのじゃが、聞き入れてはくださらなかった」

「領主はたしか玄燥氏でしたか?」