「あと愛実さんと別れる時に、これを預かりました」



そう言って、私は那月さんにある物を渡す。



「こ、これは…」



「愛実さんが大事にしてたクマのぬいぐるみです。那月さんからもらったって言ってました」



「確かに、愛実の誕生日プレゼントに僕があげたぬいぐるみです…」



「これを那月さんに持っててほしいと言っていました」



「な、なんで…」



「那月さんが幸せに暮らしているかどうか、見ててあげるって…」



「っ……愛実っ……愛実!」



那月さんは泣きながら、崩れ落ちた。


私はただそれを見ることしかできなかった。