「琴ちゃん。俺さ‥‥‥‥好き。」

「‥‥え」

「琴ちゃんに好きな人がいるって知ってる。けど、これは俺が決めてたことなんだ。


初恋の子に告白するって」

私は頭がついていかない。三上くんは私のこと好きっていったの‥‥?で、でも、三上くんの好きは私の好きとは違うはずだし‥‥。
初恋の人に告白する三上くんから、私は告白されたの‥‥?えっと‥‥じゃあ‥‥

「三上くんの初恋の子って‥‥私?」

三上くんは首を縦に振った。

「っ、あはは、冗談はやめてくださいよ。」

私は笑いながら否定していた。もちろん作り笑いだ。
おそらく三上くんの性格だもん。悪魔っぽく冗談を言っているって思った。

三上くんは自分の手で私の腕を掴み、ぐいっと顔を近づけて下から眺めるように上目遣いを使ってきた。

「‥‥俺は本気だよ?」

「うぅっ‥‥。」

私の顔はとても熱かった。自分じゃいつも気持ち悪いと思う女の子らしい弱々とした声が出る。

「言葉の彼女じゃなくて‥‥本当の彼女になってくれない?」

彼は淡々と台本を読んでいるかのようにサラサラとドキドキするようなセリフを言う。

さっきから心臓が鳴り止まない。

私は三上くんの初恋の子が私ならなんて思ったこともあるほど私はいつの間にか好きになっていた。

なのに、いざとなると好きという言葉は出せない。

彼はずっと私の腕を握ったままじっとしている。彼の手から振動が伝わる。

冷静に見えて、実は三上くんも心臓鳴り止まないんだ‥‥。

そんなとき、1つの言葉が脳をよぎった。

ー俺、琴が迎えに来てくれるまでここで待ってるから。それまで誰にも俺の枠譲んないでよね。


悪魔の約束守ってよ?ー

あぁ‥‥昔に言われたあの言葉は三上くんから言われたんだ‥‥。

お久しぶりですね。悪魔さん。

「紅音。」

「っ‥‥!?」




「迎えに来たよ‥‥っ‥‥鍵を持ってねっ‥‥。」

私の瞳は潤んでいた。やっと会えたんだね。


紅音‥‥