「はい、お茶」

コトっと机にコップを置く音だけが二人の間に流れる。

「ありがとうございます‥‥」

そういや俺、朝山さんに家教えたっけ‥‥?
俺が家の扉を開けると泣きながら立ってる朝山さんがいた。とりあえず家の中に入れたけど‥‥朝山さん何しに来たんだろ‥‥。

「大丈夫?おさまったなら聞きたいことが結構あるんだけど‥‥」

彼女は俯きながらもコクっと首を縦に振る。

「まず、どうして俺の家わかったの‥‥?」

俺の家なんて知ってる人いたっけ‥‥。イツさんやセイさん達にしても家は知らないはず。

「‥‥えっとね、椎名くんに教えてもらったんです。」

「椎名っ!?」

椎名翼は俺の幼馴染みだ。あの面倒くさがりが人に教えて連れてきたのか‥‥?
俺は考えずらかった。

「はい、椎名くんも心配してたんですよ。三上くんが学校にこないこと‥‥」

「椎名も‥‥ってことは、朝山さんも心配してくれてたって解釈でいいのかな?」

そう言うと彼女は顔を真っ赤にして、「そ、それはぁ‥‥」と否定し始める。

「と、とにかく、私も一つ質問をしてもいいですか!?」

「えっ、あ、うん‥‥」

「その傷‥‥どうしたんですか。」

彼女は悲しそうな顔をする。自分がやられた訳でもないのにどうしてそんな顔をするんだろう‥‥。

「あぁ‥‥これね、ちょっと殴られちゃってさ‥‥」

「な、殴られたって‥‥や、ヤンキー‥‥?」

彼女の答えが明らかにおかしくて笑いをこらえられず

「ぷっ、あははははっ」

「‥‥」

彼女はポカーンとした顔と同時にプルプルと震えて

「そんなに笑わなくてもいいじゃないですかぁっ〜!!」

と言いながら怒ってきた。

「ごめんごめん。朝山さんには言ってなかったんだけど、俺ね婚約者がいたんだ。」

彼女は思ったより驚いてない‥‥?ように見えたけど気のせいかな。それか、そんなに俺に興味無いか‥‥

「‥‥うん。」

彼女は小さく頷いただけだった。