「じゃあ、そろそろ私帰るわ。またね、紅音」

「お気をつけて‥‥」

そう言って瑞月さんは店を後にした。
VIP席がある場所から話し声が聞こえるのは私達3人の声だけとなった。

「‥‥瑞月さん、凄い方なんですね。」

「昔はあんなんじゃなかったんだけど‥‥」

「1人の女の子のせいでねぇ〜」

「さっき話に少し出てきた、昔、紅音くんが好きだった女の子ですか?」

さっきまで、うつきさんと九十九さんから、あの2人の話を聞いていた。
(話の内容は前ページのお話と同じです)

「うん、彼女の嫉妬はその時目覚めたみたい。それからと言うものは紅音は何かに縛られて、檻に閉じこもってるって感じ。」

「‥‥そうなんですか。」

三上くんは、私といる時そんな話は一切しない。馬鹿ばっかりやって、意地悪ばかり。そんな彼が‥‥

「ねぇ、琴ちゃん。お願いしてもいい?」

「なにをですか‥‥?」

「紅音を助けてあげてくれないかな。」

「‥‥私に出来るなら。」

彼を助けてあげたい。

見せかけの魔王はもうやめていいんだよ。


私が勇者になって倒してあげるから。