「琴ちゃーん!こっちこっち」

ちいさな声で手招きをするイツさんの方へ向かう。

「ここにいてね、対応は怪しまれないように普通に接客するけど‥‥、名前バレちゃまずいだろうし、ここの人たちには(あさやまこと)から、まこちゃんって事にしてるから」

「わ、わかりました。ありがとうございます。」

「んじゃ、俺も呼ばれてるから!またね」

そう言ってイツさんも席を外す。そういやここってホストなんだよね‥‥ホストなんてドラマで見るくらいだからわからない。

「こんにちは。まこちゃんでいいのかな?」

知らない男の人が話しかけてくる。

「は、はい。」

「それにしても可愛いね。よく言われない?雨紗小冬ちゃんに似てるって」

「本人です!」

‥‥なんて、言えないわけで

「あ、あまり言われないですかね‥‥あはは」

苦笑いになってしまったけど必死に誤魔化す。

「俺の名前は兎月(うつき)。よろしくね。」

「う、うつきさんですか。よろしくお願いします。」

そう言ってうつきさんは「来るのは初めてなのかな」「なにか飲む?」など、優しく対応してくれた。私は辺りを見渡し、三上くんを探してみるけれど見つからない。

「どうしたの?居心地悪かった?」

うつきさん。本当にすいません。私は別の目的がありまして‥‥決して嫌いなわけじゃないんですよ。

「い、いえ‥‥そう言えば、ここのホストって、どういう仕組みなんですか?」

私は話題を作ろうと、質問をして見る。

「仕組み‥‥?んー、ここは指名制だからね、暇な人は暇だし、人気な人は凄く忙しいよ。」

「うつきさんも人気でしょう?私なんかにずっといてもいいんですか‥‥?」

「っはは、最近の人達は皆紅音ばっかり。俺は結構暇だよ。」

三上くんってほんとに凄いんだ‥‥