「木嶋先輩、少しだけテツを借りてもいいですか…!?」
「……あぁ、問題ない」
「ありがとうございます!すぐ終わらせますので!
テツ!ちょっとこっち来て!」
「…あ、おい……!」
木嶋先輩に頭を下げて、テツを引っ張る。
テツを引っ張って連れてきたのは観客席へ上がる階段の下。
「なんだよ。今さら謝ったって俺は許さねーからな」
やっぱり。
まだテツにお守りをあげなかったのを拗ねてる。
腕を組んで子供みたいに口を尖らせて顔をそらすテツは、ちょっと可愛らしくて笑っちゃいそう。
あたしは構わずに鞄からできたてのものを取り出す。
「はいこれ、テツに」
「……俺に?」
あんた以外に誰がいるのよと笑ってやった。
テツにあげたのは"必勝"と書かれたみんなとは違うお守り。
他のみんなにはバレーボールで、テツだけにはお守りを作った。
「…昨日はまだテツの分が出来てなくて、渡せなかったの。
昨日間に合えばよかったんだけど……ごめんね?」
テツはじっと受け取ったお守りを見つめている。
テツのは他の誰よりも心を込めて作りたかったから、時間がかかってしまった。



