「…て、テツのはない!」
今は、が抜けてしまった。
でもないものはないんだからいいか。
手を差し出した状態で固まってるテツ。
しばらくそのままでいると、動いて移動先は体育館の隅。
「…先輩。俺、大会出るのやめるわ」
「おい!正気かテツ!?それは許さん!目を覚ませー!」
「そうだぞ!鉄也!お前いないと誰がスパイク止めんだよ!」
「見て剣ちゃん!鉄也が拗ねてるよー!新鮮!」
必死に反塚隊がテツを励ます。
もとはと言えばあんた達が余計なことを言ったからこうなったんだからね。
と自分の失態をヒトのせいにする。
そして麗さんは木嶋先輩の肩をバシバシ叩いて能天気に笑ってる。
木嶋先輩、肩痛そう……
にしてもあの落ち込み様は大丈夫かな。
練習と明日の大会に支障がでないといいけど……
「…今日はあれでも明日は問題ないと思うよ」
「え?」
隣に来た兼田先輩がそっと耳打ちしてきた。
明日は問題ないってなんで言えるんだろうと考えていると、兼田先輩はふっと微笑んだ。
「……鉄也の分、作ってるんでしょ?特別なやつ」
「……っ!?」
どうしてこう兼田先輩はすぐ分かってくれるんだろう。
バレたことが恥ずかしくて口元を手で覆って顔を半分以上隠す。
いよいよ、明日。



