「…見たそうにしてたろ?王様の景色」
「え?」
降ろせを連呼してたらテツの声が聞こえた。
もしかしてあたしが昔を思い出してるの分かってこんなことを?
しかも王様の景色って…テツもあの時のこと覚えて……
「俺が跳ぶとたぶんお前のながーい胴くらいはあるから、澪が今見てる景色が俺がいつも見てる景色」
「胴長ですみませんね」
テツは肩をわずかに震わせて笑っている。
あたしはテツの頭を軽く叩いてやった。
テツの頭からネットの向こう側へと顔を向ける。
これが、テツの言ってた王様の景色。
きっと全てを見下ろして見えるから、王様の景色なんて言ったんじゃないかなと、見てみた今だから言えることだった。
でも王様の景色なんて言ったらなんか偉そうでやだな。
素人なりに例えるなら……
「…ジュリエットがバルコニーから愛しいロミオを見下ろしてるような気分」



