「…朝練?」
「そ。予選近いから、今日からあんの」
だから付き合って。
洗面所で顔を洗うあたしを背後からテツは朝の襲撃未遂事件の理由を教えてくれた。
小学生の時はよくテツにボール上げてたから、そこは問題ないけど。
「…なんであたしなわけ?」
小学生の時は上げる人がいなかったから上げてただけで、バレー部で朝練やるなら、相棒の兼田先輩とかセッターの反塚先輩にボール上げてもらえばいいのに。
洗顔と髪をセットし終えて、使った櫛やピンを片付けているとテツに後ろから抱き締められた。
「……澪がいい」
腕にこもる力は強いけど、どこか儚くて。
僅かに震えている手の理由をあたしは知ってる。
だから、断れないんだ。
「仕方ねーな、付き合ってやるよ」
テツの口調を真似して言えば、テツの手の震えは治まって、今度は肩を震わせて笑っていた。
「お?澪ちゃんも言うようになったなー?」
「わ!ちょ、やめて!」
せっかくセットした髪が台無しになった。



