「……なんちゃって」


「え?」



廊下に出たらすぐにテツが振り返って、両頬をテツの手に包まれて壁とテツに挟まれたと思った瞬間には唇に柔らかい温もりが。



テツにキスをされていると気付けば、頭の中が真っ白になった。
目を閉じるのも忘れて、あたしは動くこともできずにただキスを受け入れるしかなくて。



長いキスが終わると、テツは妖艶な手つきで濡れた唇を拭う。



「…澪ちゃん、いただき」



色っぽい顔つきで微笑んで今度は頬にキスされると、テツは階段を降りていった。



体に力が入らなくて、そのまま壁に沿ってその場に座り込む。



やっと力が入った指で唇に触れれば、鮮明に残っている、テツの唇の感触。



柔らかくて暖かくて……



心臓の鼓動がうるさ過ぎて、テツとお母さん達が話してる声がすごく遠くに聞こえる。



そしてあたしは二日連続で腰を抜かした。