そんなことを思っていると気付けば向坂先輩が目の前までやって来て笑顔であたしの両手を握る。
「やっぱり!
ね、昨日も来てくれたでしょ?
あの時私、コンタクト忘れちゃって必死に嫁ちゃんのこと見ちゃってさ。
ちょっと怖がってたでしょ?
やっぱ睨んでるみたいだったよね?ごめんね!」
「い、いえ……」
両手を合わせて謝られる。
噂では気の利く優しい先輩だと聞いていたから、それを目の当たりにすると何も言えなくなる。
睨んでた訳じゃなかったんだ。
てか嫁ちゃんって…あたしはテツの彼女でも嫁でもないのに。
「センパイ目悪いくせにコンタクトし忘れるとか、ドジ~」
「うっさい!鉄也だって肘のサポーター忘れたくせに!」
「あ、……」
肘のサポーターと言われて本来ここに来た目的を思い出す。
「テツ、あたしのところに入ってたよこれ」
「あり?何でだろうな。でもサンキュー」
何でだろうなってわざとだからでしょ。
という意味を込めて睨めば、奴はニヤリと笑う。



