今度はあたしが目を丸くする番だった。
テツは両手であたしの頬を挟んで包み込んではあたしの顔を自分の方へと引き寄せた。
「…せっかく手に入れたものをそう易々と手離すかよ。
澪は、澪だけは何があっても絶対ぇ離してやんねーから」
「……~っ」
余裕そうなその笑みに腹が立つどころか安心している自分がいる。
そしてまた目に涙が溜まり頬とテツの手を伝っていく。
「……バカ…!ほんっとに……バカテツ…っ!」
テツの胸を拳で強く叩く。
でも泣いてるせいで力が出なくて強いなんていえるものじゃない。
「って泣きながら笑ってやんの。
すげーブサイクな顔してるぞ?澪ちゃん?」
「うっさいわ…!」
どんなに意地悪なことを言われてもそれが今は心地いい。
だってテツと離れなくていいんだよ?
別れるなんてことないんだよ?
これからもずっとテツの隣にいていいんだよ?
それが分かれば嬉しくて泣きたくもなるし笑いたくもなるでしょ?
騙されたのはさすがに腹が立ったけど、でもそのお陰であたしはテツを信じてぶつかることができた。
久し振りにされた噛みつくような強引なキスは今までで一番甘くてしょっぱかった。



