こいつ、俺の嫁。





「だからね?これを……」




これを伝えるところを見届けてほしい。




そう三輪田くんに言おうとすると向かいからやってきた車が大きくクラクションを鳴らした。




そのせいであたしの言葉も体も止まる。




黒い車から出てきたのは慌てた様子の未来だった。




「え、未来?どうしたのそんな慌てて」


「どうしたのじゃないわよ!何度電話しても話し中だし、家に行ってもいないし探したんだから!」




未来に両肩を掴まれて勢いよく揺すられる。




「そんなこと言われたって今麗さんの家にお邪魔して三輪田くんと……」


「テツさん今晩東京行っちゃうって……っ!」


「え、……?」




今日?テツが東京に行く?
だってまだ高校を卒業すらしてないよ?




「テツさん、宮古大の強化選手にも指名されてたらしくてこれで練習に合流するために行くんだって。
卒業式も特別免除が出て、もう帰ってこないつもりでいるらしい」




たまたま会った兼田先輩に聞いたの。




誰に聞いたとかそんなことどうでもよかった。




テツが卒業式を免除されたということは恐らくテツは卒業式には来ない。
つまりテツと会える確率が低くなる。




テツに伝えたいことを伝えるなら今しかない。
今すぐ駅に向かって走っていけば間に合うと思う。




あたしは両肩にある未来の手を優しく握って肩から離した。