「…俺じゃ、ダメ?……スか」
「……え?」
テツ以外の男の人に抱き締められたことがないからどうすればいいか分からない。
だから当然、三輪田くんが言ったことの意味も理解できなくて。
唯一分かるのは耳にあたる三輪田くんの吐息が熱くてくすぐったいということ。
俺じゃダメってどいうことなの……?
「…距離があるから毎日は会えないけど……週に一度は会いに来る。
会えない時は電話かメールする。
大河が寂しくならないようにするから……だから俺の……」
「……澪?」
「え、テツ……っ!!」
名前を呼ばれた方を向けば学校帰りのテツが目を丸くして立っていた。
三輪田くんも驚いたのか背中に回った力が緩んだ。
それに気付いたあたしは慌てて三輪田くんから離れた。
なんかすごくまずいところを見られた気がする。
丸くなっていたテツの目は三輪田くんを見た瞬間に鋭いものへと変わった。
「お前関ヶ峰の……前に言ったよな?『澪に手ぇだしたら、殴るだけじゃ済まさねーから覚えとけ』って」
前って去年の合同合宿のことだよね?
あれからテツと三輪田くんが会うことなんてなかったし。
でもあの時は『大会で当たったら負けねーから』って言われたって三輪田くんが……
隣にいる三輪田くんを見上げるとさっきとは違ってバレーをしてる時みたいに真剣な目をテツに向けていた。
テツが言ってることってほんとなの?



