そして次には深いため息を吐かれた。
「我が儘言ったっていいじゃないですか。
彼氏に我が儘言えるのが彼女の特権みたいなものでもありますし。
それに鉄也センパイだって無理していってらっしゃいを言われるより、寂しいって素直に言われた方がいいに決まってます」
「そんなものなのかなー……」
BerryBerryの店内を掃除しながら、桃子ちゃんに言われたことを思い出していた。
桃子ちゃんみたいな子ならきっとすぐ寂しいとか言えるんだろうけど、あたしにはなかなか言えない。
もしあたしが素直に言ったとしてテツが宮古大に行くのをやめてしまったら?
宮古大に行くのをやめてテツが選手として成長できなかったら?
そう思うと怖くて我が儘なんて言えない。
自分の臆病さに腹が立つどころか笑えてくる。
モップをかけながらため息をつくと来客を知らせる鈴が店内に鳴り響いた。
店の出入口付近にいたあたしはモップをその辺に置いて駆け寄った。
「いらっしゃいま……っ!」
営業スマイルでお出迎えしようとしたらこのバイトをしてることをバレたらヤバいことになりそうな方達が立っていた。



