「…澪…センパイ……」
名前を呼ばれてその方向を見れば目を丸くしてあたしを見ている林部さんがいた。
その隣には待ってましたと言わんばかりに笑ってる成宮先輩。
そしてあたしは兼田先輩に誘導されてテツのスパイクが見えやすい場所に座らされた。
その近くには林部さんがいる。
不満げな表情を浮かべながらもテツは兼田先輩のトスに合わせて跳んだ。
腕を上げた瞬間に分かった。
テツがほんの少しだけ眉間にシワを寄せたこと、そしていつもより打点を低くしたこと。
テツ、もしかすると肩を痛めているかもしれない。
「…林部さん、冷却スプレーどこにある?」
「え、あ、ここに……」
「それ貸して」
あたしは林部さんから素早く冷却スプレーを受け取るとテツの元へと駆け寄る。
「テツ。いいから見せて」
「…やだ」
「…テツ」
「…無理」
「やだ」「無理」の一点張りのテツに段々腹が立ってきた。
もし肩を痛めているのなら今治さないと、インハイ予選どころかインハイにすら出られなくなるかもしれない。
こうなったら一番効きそうな脅し文句を使うしかない……!



