その人はあたしと目が合うとすぐにあたしの名前を呼ぶ。
「大河…っ!」
「兼田先輩…!?そんなに慌ててどうしたんですか?」
いつも落ち着いてる先輩が息を切らして走ってくるなんて珍しい。
膝に手をついて息を整える先輩。
「大河に鉄也のスパイクを見て欲しいんだ」
「あたしに…テツのスパイクを…?」
いきなりすぎて理解できなかった。
とりあえず来て欲しいと言われ、兼田先輩のあとをついていきながらわけを聞いた。
最近テツの様子がおかしいらしいけど、その理由が部員全員分からないらしい。
テツに聞こうとすればテツが不機嫌になるのだとか。
そこで兼田先輩はテツを近くで見てきたあたしなら分かるのではないかと思ったらしい。
テツのスパイクなんて久しぶりに見るからあたしなんかに分かるかな。
兼田先輩についてくままに体育館に入ればいつもと違う空気の重さに驚いた。
これは絶対テツが作り出したもの。
インハイ予選近いのにこんな空気じゃ勝てるものも勝てなくなる。



