こいつ、俺の嫁。





兼田先輩に連れていかれる数十分前。




『バレーのルールも知らないし、バレーの経験もない。
"黒鉄の王様"の彼女がド素人だなんて呆れますね。

鉄也センパイが熱心に打ち込んでるバレーを少しは知ろうとかやってみようとか思わないんですか…!?』




「……はぁ…」




林部さんに言われたことを思い出してはため息しか出てこない。




林部さんの言葉はすごく説得力があって何も言えなかった。
バレーをやろうとしたけど運動は苦手だし、ルールだって覚えようとしたけど素人には難しくて3歩歩いたら忘れちゃうし。




それでもテツの支えにはなりたくてトスの練習は必死にやったっけ。




バレーを知ってる林部さんと違ってあたしにできることはそれくらいしかない。




そう思うとまた自然とため息が出る。




「澪帰ろー…ってなにその老けた顔」


「……未来」




帰り支度を済ませた未来があたしの席にやって来た。




老けた顔って酷くない?
ていうかあたしそんなに酷い顔してるの?




未来は何も言わずにあたしの前の席に座っては長い脚を組んで机に頬杖をついた。




「何、ついにテツさんと倦怠期突入?」


「テツとは絶好調なんだけどさー……」


「うわ、その言い方腹立つわ」




未来と向かい合うようにして頬杖をつく。