澪センパイに分かるわけない。
だってセンパイは素人。
バレー部員や経験者の私が見てたって分からないんだから、素人のセンパイに分かるわけない。
鉄也センパイは渋々といった表情で兼田センパイが上げたボールでスパイクを打った。
するとその直後、澪センパイが立ち上がった。
「…林部さん、冷却スプレーどこにある?」
「え、あ、ここに……」
「それ貸して」
私の方に見向きもせずに私から冷却スプレーを受け取るとすぐに鉄也センパイの元へと駆け寄った。
澪センパイの表情は見たことないくらいに鋭い。
「…テツ、Tシャツ脱いで肩見せて」
「あ?んだよ澪、そういうのは家に帰ってからしてやるよ」
「そういうのじゃなくて、いいから見せて」
「……やだ」
澪センパイの言うことなら何でも聞きそうな鉄也センパイが不機嫌そうに拒否して、澪センパイから視線を外した。
澪センパイが何度も見せてと言っても、鉄也センパイは「やだ」「無理」の一点張り。
痺れを切らした澪センパイが体育館中に響くような声で怒鳴った。



