猫背からは考えられない綺麗なフォーム。
細い腕のどこにそんな力があるのというくらいに力強いスパイク。
そして何よりすごかったのは、ネットを飛び越えて相手コートにいってしまいそうなほどに高いジャンプ。
「あーあ。あの人いちゃむりだよー」
「…あの人のこと、知ってるの?」
友達に聞いて初めてその人が黒岡鉄也という人だと知った。
あの人みたいに高く跳んでみたい、そう思ったらバレーをやりたくなって私は小学校を卒業したら長かった髪を切って中学でバレー部に入部した。
練習は辛かったけど、何より跳ぶのが楽しくてやめたいなんて一回も思わなかった。
鉄也センパイみたいに高く跳びたくて必死に練習してたら先輩を差し置いてスタメンになるまでになった。
「あら、桃子もう行くの?」
「うん。練習したいから」
「あまり無理しないのよ?」
朝は誰よりも早く体育館へ行って練習して。
「桃子ー、まだやんのー?」
「もうちょっとだけお願い!肉まんおごるから」
「しょーがないなー」
放課後は誰よりも遅く残ってスパイクの練習をして。
これで鉄也センパイに近付ける。
そしていつか鉄也センパイの目に留まって、私のジャンプ見てくれるかもしれない。
そう信じて毎日をほとんどバレーに捧げた。



