【side 桃子】
私が初めて鉄也センパイを見たのは小学生の時。
友達のお兄さんがバレー部で大会に出るから一緒に観に行こうって誘われたのがきっかけ。
その子もバレーをやっていたけど、私はこれといってバレーに興味はなかった。
丁度暇だったし、友達が一人じゃ心細いっていうからついていったその程度だった。
「おにぃー!がんばれー!」
その子のお兄さんのチームは負けてた。
かなりの大差で負けてて、これはもう無理じゃんってその子には悪いけどそう思ってた。
友達が必死にお兄さんを応援してる隣で、私はふと対戦相手を見ていた。
黒髪の癖っ毛、中学生とは思えないくらいの長身。
切れ長の目をして猫背だけど、目つきは獲物を狙う鷹のように鋭い。
「……っ!」
その人は上がったボールに合わせてネットよりも高く跳んだその人の背中には黒い羽が生えてるように見えた。
慌てて強く目を閉じて首を横に振って目を開ければ黒い羽は見えなかった。
そしてボールは誰もレシーブすることなくコート内に落ちた。
沸き上がる歓声の渦。
衝撃だった。
バレーに興味のなかった私でもあの人はすごいと感じた。



