「バレーのこと何にも知らないセンパイが彼女より、私みたいなバレーのことよく知ってる子が彼女の方が鉄也センパイのこと分かってあげられると思います!」
「…っ」
遠回しに"私は鉄也センパイが好きです"と言われた。
これって宣戦布告ってやつ?
それ以前に林部さんの言ったことに返事できなかった。
林部さんがあたしの横を通りすぎて走り去っていく足音が小さくなるまであたしはその場から動けなかった。
今まで抱えていた気持ちを澪にぶちまけ走ってきた桃子。
乱れた呼吸を戻そうと胸元を押さえる。
すると壁に寄りかかっている人が視界に入った。
恐る恐るそちらへ顔を向けるとそこにいたのは兼田だった。
ここは体育館からそう遠くない。
しかも桃子は体育館の出入り口で大声を出して澪に思いをぶつけていた。
「…盗み聞きなんて悪趣味ですね?兼田センパイ」
「あんなに大きい声出せば盗み聞きしなくても聞こえてくるだろ」
兼田の言葉に図星だと思った桃子は何も言えなかった。
兼田は壁から背中を離し、桃子の横を通り過ぎる前に一度桃子の横で止まった。
「…林部、お前は大河をなめすぎだ」
「……っ!」
それだけ小声で言うと兼田は体育館の方へと歩いていった。
桃子は形の整った唇を歯形がつきそうなほど噛み締めた。
「…なんで…なんでみんなあの人を庇うの……!?」



