こいつ、俺の嫁。





「…はぁ、なんでこうなるかなー…」




ある日の放課後。
あたしはまたバレー部が練習する体育館に向かっていた。




理由はもちろんテツの忘れ物を届けに。




忘れ物というかわざとあたしのカバンに入れたものを届けに。




バレー部へ顔を出すのは久しぶりに俺の嫁と言われて以来。




あの発言をされてから学校内でバレー部員とすれ違うとなぜか一年生に"嫁先輩"と呼ばれ頭を下げられるようになってしまった。




未来は大爆笑だし、周りの目は痛いしほんとやめてほしい。




てか絶対成宮先輩が面白がってそう呼べって言ったんだ。




……はぁ、最悪。




「…こんにちはー……」




ため息をついて体育館に入ればいつも聞こえるボールがフローリングを弾く音が聞こえなかった。




「…あれ?」




体育館の中をよく見ればバレー部員が誰一人いなかった。




場所を間違えるわけないし、練習が休みなのはあり得ない。
体育館にはちゃんとネットが張られているのが何よりの証拠。




「…皆さんは外周に行ってます」


「あ、林部さん」




背後から声が聞こえ振り返ればノートを抱き締めるようにして持っている林部さんがいた。