こいつ、俺の嫁。





一部始終を見ていた桃子は、体育館を走り去っていく澪の後ろ姿を見ていた。




成宮などのバレー部員は鉄也に澪とのことを聞いていた。
鉄也はそれを嬉しそうに答えている。




「…小橋センパイは澪センパイのこと、好きなんですよね?」


「へ!?あ、いやそんなことは……!」




澪の姿が消えてから桃子は鉄也を見ながら隣にいた小橋に問いかける。




小橋は慌てて否定するも、それは肯定としかとれない。




「澪センパイと楽しそうに話してるの見れば誰でも分かりますよ。
告白したんですか?」


「あ、あぁまぁ最初は頑張ろうと思ったけど……」




小橋は桃子を苦笑いして見てから視線を鉄也達の方へと向けた。




鉄也は何度も"こいつ、俺の嫁"と言わされているが、満更でもない様子だ。




「…大河さんはずっと鉄也先輩しか見えてなかったからね。
邪魔なんてできなかったよ」




邪魔する以前に澪に好意を寄せたことで鉄也に厳しい練習をさせられた、という小橋の苦い思い出は口には出さなかった。




「……なんで私じゃ……」




苦い思い出を思い出していたことで小橋は桃子が呟いたことを聞き取れなかった。