こいつ、俺の嫁。





そんなあたしの体を痺れから解放したのは林部さんの一言だった。




「…あの…澪センパイって黒岡センパイと…どういう関係ですか?」




あぁ、この質問久しぶりに聞いた気がする。




そしてこのテツのニヤけっぷりも何だか懐かしく思えてしまう。




懐かしいとか思いたくないのに。




テツは強引にあたしの手を引っ張ってはあたしを立たせ、そして自分の方へと引き寄せた。




そして言うのだ。




「…こいつ、俺の嫁。嫁の澪」




あの決まり台詞を。




成宮先輩の囃し立てるのとか見てると反塚隊の頃を思い出す。




反塚先輩がいないとこの囃し立てるのも寂しく見える。




一年生は「あれが黒岡センパイの…?」とか「黒岡センパイの彼女?」とか小声で何かと反応してる。




だから体育館(ここ)に来たくなかったのに。




「一年は知らないだろうけどな!
去年の文化祭でこの二人は公式の……」


「わーーー!!
はいテツ!頼まれてたタオル!
成宮先輩!ドリンク持ってきましたよ!さ、飲んでください!」




余計なことを言おうとする成宮先輩の言葉を遮ってテツの顔面にタオルを押しつけ、そして成宮先輩には口にドリンクを突っ込んだ。




その隙にあたしは体育館を全力で走り去った。