「みーおちゃーん」
「ぐえっ…!」
咄嗟に体に力を入れてもやってきた衝撃は予想範囲を超えていて。
あたしは真っ直ぐに背中から体育館のフローリングに倒れた。
そしてここは"わっ!"とか"きゃっ!"とか可愛らしいことを言うんだろうけど、女子らしからぬ潰されたカエルみたいな声が出た。
こんな大型犬がやって来ればそんな可愛い声なんて出ないよね。
ていうか……
「テツ!いきなり飛びつかないで!
そして汗臭いから離れて!離れろ!」
「えー、せっかく会えたのにひどくね?澪ちゃん」
首筋に頭を擦り付けてくるテツを必死に引き剥がそうとしても、この巨人の力に敵うはずがなくて。
てか林部さんがめっちゃ驚いて見てるから!
早く離れようとしているとテツを引き剥がそうとしている手を優しく握られる。
そしてあたしの耳元をテツの唇が掠める。
「……ほんとは嬉しいんだろ?」
「……っ!」
そんなこと言われたら抵抗できなくなるでしょ?
だってその言葉は図星なんだから。
テツの吐息はまるで痺れ薬みたいにあたしの体を痺れさせて動かせなくしていく。



