「…ねぇ、テツ」
「んー?」
「昨日の部活で小橋くんに厳しくしたってほんと?」
テツからの反応がなかった。
何か冗談を考えているのか、あたしからの言葉を待っているのか分からなかった。
洗い物をしながらテツからの返事がなかったけど、とりあえずあたしは話を続けた。
「今日の朝、小橋くんいつもより疲れてたから聞いてみたらそう言っててさ。
ド素人のあたしが言っても説得力ないと思うけど、あんまり厳しくするのもよくないんじゃないの?
疲れとれてないのに練習して、ケガとかしても大変だし」
あー、ちょっと力が有り余って力入れすぎちゃったわ。
なんて返事してくるかなと思ったのに、いっこうに返事が聞こえない。
さてはテレビに夢中でヒトの話聞いてないな?
「ちょっとテツ!?聞いてんの!?」
水道から流れるみずを止めてから大きめの声を出して、ソファーにいるであろうテツの方を見る。
でもそこに、テツはいなかった。



