観覧車から見える夕日にブレスレットをかざすように手を上に挙げる。
夕日が反射してブレスレットが輝いて見える。
ブレスレットを見ていると反対の掌に何かが乗っかった。
「…え、これ……」
あたしの掌に乗っていたのはシルバーのブレスレットだった。
よく見るとプレートに『mio』と彫られていた。
「…俺にも付けて。俺は澪のものだってシルシ」
「…っ」
ん、と差し出されたテツの左手首。
あたしが耳弱いって知ってるのにわざと耳元で囁くテツは完璧な意地悪野郎だ。
囁かれた耳から甘く痺れて指先まで震える。
力の入らない手を頑張って動かして、テツにブレスレットを付ける。
『mio』と書かれた手錠(ブレスレット)を付けたテツの手は、ゆっくりとした動きで『tetsu』と書かれた手錠(ブレスレット)を付けたあたしの手を握る。
そしてあたしの手を自分の口元へ運び、優しい口付けを落とす。
その動作は無駄に色っぽくて、あたしを酔わしていく。
あたしの手に口付けたテツがゆっくりと目線を上げあたしと1度目を合わせると、再び目を閉じて今度は薬指に口付けを落とした。
「…次はここな」
ねぇ、テツ。
その言葉だけであたしがどれだけ嬉しいか分からないでしょ?
テツがあたしのことをずっと好きだったって分からなかったあたしだってさすがに分かった。
"次に付けんのは指輪な"ってことを言いたいんでしょ?