未来と並んで学校へと向かう。




「…テツさんとは学年違うから同じクラスになれないね」


「た、確かに」


「テツさんが留年すれば同じクラスになれるんじゃない?」


「いや、それはテツが可哀想というかなんというか…」




春休み前のテストで赤点を取って、留年しそうになったけども。




補習をクリアして何とかテツも3年生になれた。




たまに少し考えることがある。
テツと同じ学年で同じクラスだったらって。




文化祭の出し物一緒にやったり、一緒に同じ勉強したりどんなことでも一緒に出来る。




でも…




「か、彼女としてテツの隣にいられるし…それで十分、かな…」


「…うん、新学期からごちそうさま」




始業式の会場である体育館へ向かいながら未来と話していると、未来は目線をあたしの背後へと向けた。




未来の視線に釣られるように背後を見ようとすると、背後から頭の上に温かいものが乗せられた。




それがテツの手だと分かった瞬間、体が凍りついた。




い、今の聞かれた…?
いや周り騒がしかったし、聞こえてないはず…!




「いやー、新学期早々澪からかわいいことが聞けるなんて鉄也君嬉しーなー」


「…なっ!今の聞いて…!?」




よく見ればテツの近くにいる兼田先輩がさっきからこっち見ようとしないし、若干頬赤いし…!




恥ずかしすぎて、ベッドの布団に丸まってしまいたい。




久しぶりに見るテツの制服姿にめまいを起こしそうになっていると、テツの手が肩に乗ってテツの方に引き寄せられた。




「…夜、存分にかわいがってやるよ」


「…っ」




あたしの弱点である耳元で囁かれて、あたしはとっさに赤くなっているであろう耳を押さえた。