バスを降りて家の近くの行きつけのスーパーに寄ってあたしの家にテツと帰宅する。
あたしはキッチンで今日の夕飯・カツカレーを作り、バスで一寝入りしたせいかしっかりと覚醒したテツは二人掛けのソファーに横になってテレビを見ている。
その姿は大河家の父親そっくりで。
…というかここあんたの家じゃないから。
なんてつっこみは心の中にしまって夕飯作りを続けた。
カレーを煮込みながらふと最終セットのマッチポイントの時を思い出す。
あの"王の鉄槌"は春高前に重点的に練習していた技で、特にトスを上げる兼田先輩は何度もテツを跳ばせてはタイミングと距離感をつかもうとしていた。
そんな練習風景をほぼ毎日見ていれば、成功した時は自分がやって成功したことのように嬉しかったな。
「…テツ。今日の試合の最後のやつ決まってよかったね。
練習の時は成功率50%だったから、本番で使うかどうか悩んでたもんね」
「あ?あぁ、兼ちゃん成宮が逃げるほど練習してたからな。
一か八かでやろうってなったんだよ」
そうだったんだ。
確かにあの技が成功した時、スパイクを決めたテツより兼田先輩の方が喜んでた気がする。



