呼ぶだけ呼んで成宮先輩は去っていき、兼田先輩は申し訳なさそうに眉をハの字にして練習に戻っていった。
ていうか向坂先輩の視線が痛いんですけど。
めっちゃ眉間にシワ寄せて睨んでるような気が……
「今日、おばさんとおじさんとあたしの両親が夕飯食べて帰るから夕飯二人で食べてだって」
「お、まじ?今晩は澪の飯か。いやー、嬉しいなぁ。
何?何作ってくれんの?」
「い、いや。何作るかはまだ……」
用件だけ言って帰ろうと思ったのに、こいつが中々帰してくれない。
こいつ、突き刺さるような向坂先輩の視線気付いてないの!?
「まじ?まだ決まってねーの?
じゃあ俺の大好物は作ってよ?」
「わ、分かったから!
じゃ、練習頑張ってね…!」
早くこの空間から去りたくて、適当に話を終わらせてテツに背を向ける。
でもまたすぐに澪と名前を呼ばれる。
「もう何!?早く戻らないと先輩達に怒ら……」
続きの言葉が言えなかった。
背後からテツの手があたしの肩に置かれて、テツの顔が耳元に近付いてきたから。



