口を開いて聞こえてきたのは規則のいい呼吸。
「……澪?」
まさかこいつ……っ
澪の顔を覗き込むと案の定、澪は心地良さそうに目を閉じて眠っていた。
次の瞬間には深いため息が出た。
「…はぁ。結局そうなるのかよ」
生殺しとはこのことを言うのかと改めて知った気がする。
それと同時に生殺しはどれだけ残酷かということも。
「覚えてろよ。
お前の風邪が治ったら、とことん襲ってやるから」
眠るお姫様に触れるだけをキスを落として、新しい寝巻きを着せてベッドに寝かせた。
そのまま澪の隣で寝てしまい、起きた澪の悲鳴が俺のアラームになったのはしばらく後の話。
【side end】