瞼を閉じて夢か現実か分からなくなって意識が混濁してるときに、ふと小さい頃の出来事が頭の中に入り込んできた。
そういえばあたしはいつも大事な時に風邪やら熱を出していた気がする。
テツの家族と動物園に行こうとした時、小学校での遠足の時、中学の期末テストも熱出して駄目にしたこともあったな。
でもその度にテツがお見舞いに来てくれて、「ったく、しょーがねぇやつだな澪は」って言って優しく頭を撫でてくれたっけ。
そう。
こうやって前髪をとかすように優しく。
小さい頃のあたしはテツがこうしてくれるだけで具合が良くなると思い込んで、わがまま言って撫でてもらってたな。
今回はテツとの接触禁止令が出てるから、この撫でる手つきはきっと夢なんだ。
寂しい。
現実でテツに撫でてもらいたいのに。
薬を飲んで寝たお陰か、体が軽い。
熱くもないし。
起きて何か食べようと重い瞼をゆっくりと上げる。
何回かまばたきを繰り返すと、ボヤけていた視界がクリアになりあたしの目に映ったのは信じられない光景だった。



