小さな無人駅である駅に降り立つと、ベンチに座っている見慣れた姿を見つけた。
見間違えるはずのないその姿に慌てて駆け寄る。
「て、テツ……?」
「おー、遅かったな澪」
ゆっくりと上体を起こした彼はテツだった。
時間はもうすぐ9時になる。
部活なんてもうとっくに終わってるはずなのに。
スマホを見ても待ってるなんてLINE来てないし…
「なんでここに?待ってるなら言ってくれれば……わ、」
スマホをポケットにしまっていると、腕を引かれてテツの脚の間に入り、テツは座ったままあたしを抱き締めた。
テツの頭がちょうどあたしのお腹にあたっている。
あたしを抱き締めるテツは大分冷えてる。
テツとは逆にあたしの体は熱を帯びている。
「…最近、澪が足りねぇんだよ」
そう言えばテツはさらに強く抱き締める。
珍しくテツが甘えてきてる?
確かに最近はずっとバイトだったから、テツと話すことがほとんどなかった。
「あたしもテツが足りないや」
テツの頭を優しく撫でてから、あたしもテツを抱き締めた。



