「……テツに何かやなこと言われなかった?大丈夫?」




テツが遠くにいるのを確認して、小声で三輪田くんに尋ねる。




三輪田くんは頬を掻きながら目を泳がせている。




「………あー、………大丈夫ッス……
………『大会で当たったら負けねーから』って言われただけ……ッス」


「あ、そうなんだね。よかった」




テツらしい言葉で安心した。




「みーおー!行くぞー!」


「あ!今行く!じゃ、三輪田くんまたね!」




ホッと胸を撫で下ろしているとテツに大声で呼ばれる。




三輪田くんに手を振ると三輪田くんは控えめに手を振り返してくれた。




慌ててバスに乗って、行きと同じくテツを跨いで窓際に座る。




座席に座るなり、テツはニヤニヤ笑いながらあたしの首筋を指差した。




「あれあれ?前より絆創膏の数、一つ増えてるけど?」


「…う、うっさい!誰のせいだと思ってんの……!?」




首筋についた二枚の絆創膏を手で隠す。
あたしの反応にテツは満足したのか、行きと同様にあたしの肩に頭を預けて寝始めた。




こうして関ヶ峰高校との合同合宿は幕を閉じた。