こいつ、俺の嫁。




なんでテツにこんな必死になって弁解してるんだろう。



テツにどう見られたって、テツがあたしを好きじゃないのには変わりないんだから。



いつも怠そうなテツの声がいつもより低くてどこか鋭くて、なんだか怒ってるみたいだった。



あたしに怒ったってテツにいいことなんて何一つないのに。



むしろこの状況をテツの好きな人に見られたら、変な誤解を生んでしまうだけ。
それを考えられないテツではないはずだよ。



「ふぅ~ん。そうかそうか。
……でもあいつはアウトだな」


「え、何?なにか言った?」



耳元で何か言ったのは分かったけど、小さすぎて聞き取れなかった。



「んー?いやね、澪ちゃんは相変わらずちっせーなって言ったの」


「んなっ!?余計なお世話だわ!!
てか離れろ!肩痛いから!」



肩に顎を乗せられるとかなり痛いし、くすぐったい。
きっとあたしの弱点が肩なのを知っていてわざと乗せてきてるな。



「はいはい。
んじゃ、俺の大好物作って家で待っててね」


「誰が作るか!」



足早に去っていくテツの背中に向かって叫ぶ。
テツは手を挙げるだけで、振り向きはしなかった。



…ねぇテツ、どうして怒ってたの?



なんてテツの背中に問いかけても当然答えなんて返ってくるはずもなかった。