振り返ると目の前にテツの大きな体があって、危うくぶつかりそうになる。
「わ、びっくりし…た………テツ?」
思わず体を後ろに引きかけると逆にテツの方に引き寄せられてそのまま抱き締められた。
大きくて広いテツの体には小さいあたしの体なんてスッポリと収まってしまう。
にしてもどうしたんだろう。
また不安なことでもあるのかな……
「どうしたの?テツ」
「ん?あー、これから暑さと戦うから澪パワー注入してんの」
そういうことか。
返せ、あたしの心配を。
でも何もなくて良かった。
そう思いながら優しくテツの背中に腕を回した。
しばらくしてテツはあたしから離れたかと思ったら、今度は目を閉じて顔を近付けてきた。
「今度は何?」
「ん、いってらっしゃいのキス」
「誰がするか!早く行け!」
「…ちっ、連れないな~澪ちゃん」
テツの頬に手を添えてビンタするみたいに顔をそらしてやった。
テツはブツブツ文句言いながらもあたしに背中を向けて歩き出した。
こんなちょっとした一コマだけど、何だか楽しくてテツの背中を見てつい笑ってしまった。
「……頑張ってね、テツ」
遠のくテツの背中にそう呟けば、聞こえていたのかテツはこっちは向かずに手を緩く挙げた。



