ただでさえテツは暑いのが苦手なんだから。
…まぁ、抱きつかれて悪い気はしないから何とも言えないけど。
テツの重みに耐えながらもなんとか立ち上がる。
テツは未だにあたしを背後から抱き締めたまま離れようとしない。
あたしは仕方なくテツを背負う形で先輩たちを見た。
「…それで、あたしを探してたって……何ですか?」
見たところテツに何かあって探されたわけでもなさそうだし。
一歩下がって様子を見ていた木嶋先輩があたしの前にやって来た。
「俺から話そう。
来週から俺たち原高と関ヶ峰高校とで合同合宿をすることになった」
「…関ヶ峰……高校」
聞いたことのある言葉をつい繰り返す。
どっかで聞いたんだけどなー……思い出せない。
すると木嶋先輩の肩を肘おきにした反塚先輩が説明してくれた。
「説明しよう!
関ヶ峰高校は俺ら原高とは昔からライバル校で、昔はインハイでほぼ毎回戦ってたんだ。
まぁ、最近は互いにいい結果が残せなくて、試合することも少なくなってきたけどな。
だがあの頃の壮絶な戦いを人々はそれぞれの高校名を合わせて"関ヶ原の戦い"なんて呼んでいた…!
はい、そこでテツ!関ヶ原の戦いは西暦何年!?」
「あ?んー、1900年?」
「あんた、今何年だと思ってんの?」
1900年ってかなり最近じゃん。
ついこの間まで江戸時代だったことになるよ、それだと。
反塚先輩のせいで話が脱線したけど、そこは木嶋先輩がまた戻してくれた。
「そんな関ヶ峰と二泊三日で合同合宿をするんだが、宿舎の女将さんが人手が足りないと言っていてな。
料理を手伝ってくれる子がいれば連れてきて欲しいと言われているんだ」
「それで…あたしを?」
そう言えば木嶋先輩は深く頷いた。



