テツはその場に立ち止まると、人差し指であたしの唇に触れた。
「さっきの演説のご褒美。澪からキスして?」
え、あたしからキス?
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……………………………………………はぁ!?
「そ、そんなのするわけないじゃん!
てか無理!あたしからなんて…!」
「じゃ、鈴いらねーの?」
「……っ」
ほら、そういうところがズルいんだよ。
あたしが鈴欲しいの知ってて、そうやって脅してくるんだから。
脅せばあたしが断らないの、知ってるんだから。
「……腰落として…目、閉じて」
「はいはーい」
言えば素直に従うのもズルいよ。
テツは前屈みになり、あたしの目の前で無防備に目を閉じる。
前屈みになってるとはいえ、テツは大きくて。
あたしは精一杯つま先立ちになって、優しく包み込むようにテツの両頬に手を添える。
テツの唇に触れる一ミリ前で一瞬止まったけど、ここまできたらあたしも我慢なんて出来なくて。
テツに触れるだけのキスをした。



