「誰が何言ってるか知らねぇけど、俺には、こいつだけだ。
だから澪に何かあんなら、旦那の俺を通せよ。
いつでも相手してやる」
テツの声がさっきの呑気な声よりワントーン落ちて、怒ったような声になった。
ううん。怒ったようなじゃない、怒ってる。
というかいつでも相手してやるってヤンキーかよ!
そうつっこみたくなったけど、テツがあたしを守ってくれたことが嬉しくてつっこめなかった。
しばらくの沈黙の後、聞こえてきたのは拍手と祝福する声だった。
「いいぞー!黒岡ぁー!」
「お幸せにー!」
「きゃーっ!カッコいいー!」
「守ってやれよー!」
いつも感じていた鋭い視線はどこにもなくて、暖かい声が心地よく響いてスッと体に溶けていく。
こんな幸せを感じてしまっていいのだろうか。
そう思ってテツを見上げると能天気に手を振ってるテツがあたしの視線に気付いてニヤリと笑った。
いつもの意地悪な笑いだけど、なんだかそれが何よりも幸せだと感じた。



