「と、隣!せめて隣のS席に座らせて!わっ……!?」
テツの隣に行こうとしたら、いきなりテツの大きな骨張った手が胸元に触れた。
「…澪の心臓すげぇ速いけど?
もしかしてそのまま食われると思ってんの?」
「やっ……耳は…ダメ……だから…っ」
耳元で囁かれてピクッと体が素直に反応してしまう。
耳たぶを軽く食われ、「ひゃっ…!」なんてあたしらしからぬ声が出てしまった。
「お望みとあらばS席に移動してこのまま澪を食ってもいいけど?」
「い、いやいいです!ぜひSS席でお願いします!」
必死に懇願した割にはテツはアッサリと身を引いて「んじゃ、見るか~」なんていつもの口調に戻った。
ちょっと一瞬だけど食われてもいいとか思ってしまったあたしは、重症だ。
「…ところで何借りてきたの?」
「ん、これ」
ちょっと待てテツさん。
DVDに"吸血島"って血まみれのホラーの字で書いてあるけど……
確か、この島に来た人間は何かも分からない生物に追っかけ回されて体内の血を全て吸われて死ぬという最近話題のホラー映画では?



